ADHD・認知症

現代人の脳は、今、非常に危うい状況にあります。まず、社会の高齢化によって、年配者では認知症の問題が深刻です。

危機的状況は年配者だけではありません。ストレス社会により、若年者の脳に負担がかかり、ADHD(注意欠陥多動性障害)の児童が増えています。

今回は「ADHD」および「認知症」に絞って解説いたします。

ADHD

ADHDは発達障害の一つです。
発達障害は、子どもの精神機能が発達する過程で起きる、さまざまな障害の総称です。主な発達障害には、自閉症、LD(学習障害)、アスペルガー症候群、高機能自閉症などがあります。

ADHDは、日本では「注意欠陥多動性障害」と言われています。

  • 集中できないために忘れ物が多い
  • 物をなくしやすい
  • 落ち着きがない
  • 物事を順序立てて行うことが難しい
  • 衝動的
  • 順番を待つことが難しい

などの行動の特徴を持っています。

いま日本では、ADHDなどの症状をもつ子どもが300万人以上いるともいわれていて、それがいじめや家庭内暴力、若年者の凶悪犯罪の多発につながっている可能性も示唆されています。

もちろん、ADHDの子どもだからといって犯罪を起こすというわけではありません。ADHDの症状は大人にもみられ、その数は年年増加していると言われています。

認知症

認知症は、認知機能(記憶や判断、計画など、脳の知的な機能障害)が何らかの原因によって障害されて「物忘れ」などの症状が現れ、日常生活に支障をきたす病気です。

認知症には、「アルツハイマー病」や「脳血管性認知症」など、さまざまなタイプがあります。

また、最近では、認知症の前段階である「軽度認知障害」が注目されています。軽度認知障害とは、年相応の物忘れにしては程度が強いが、日常生活に特に支障がない場合をいいます。一部の人が、のちに認知症に進行します。

認知症の症状は「物忘れ」が代表的です。老化による物忘れとは違います。例えば、名前や日付がとっさに思い出せないなどの「ど忘れ」程度であれば、だれにでもある老化による物忘れですが、体験したすべてを忘れる、最近起きた出来事の記憶がないなど、日常生活に支障をきたす物忘れは、認知症と判断されます。

カウンセリングと漢方処方

ADHDや認知症は漢方薬だけで対応することが困難になります。 精神状態を落ち着かせる処方として、「サイコカリュウコツボレイトウ」や「カミキヒトウ」などがよく用いられますが、治療の決め手になることはありません。

また、認知症には「ヨクカンサン」が多用されますが、いらいらや不安などが多少改善されたとしても、マスコミを騒がしたほどの効果が現れるとは思えません。かといって、西洋薬(向精神薬、抗うつ薬など)も副作用が強く、根本改善になることもありません。

鹿鳴堂薬舗では、漢方薬よりもむしろ「ブレインフード」と呼ばれているDHA(ドコサヘキサエン酸)やホスファチジルセリンなどで、脳機能の改善を目指して頂くことが多いです。

DHA

サバや鰯など、背の青い魚に多く含まれる不飽和脂肪酸の一つです。日本神経学会が、病気の診療ガイドラインの一つとして、アルツハイマー型痴呆症に対する有効性を認める表明をしました。

DHAが、認知症やADHDをはじめ、脳の機能障害に効果的に働くことは、すでに多くの研究で明らかにされ、その成果はマスコミを通じて広く伝えられています。

食品ですのでアレルギーがある方以外は副作用の心配もありません。それでは背の青い魚が嫌いな方はどのようにして「DHA」を摂取すればいいのでしょうか?

私はサプリメントを利用するのも非常に有効な手段だと考えます。昨今、DHAのサプリメントが世の中に氾濫しております。ただし、絶対に気をつけて頂きたい判断基準があります。

一般的なDHAは、高温状態で抽出します。DHAは非常に酸化しやすい成分ですので、サプリメントが完成した時点ですでに酸化が進行してしまいます。酸化された不飽和脂肪酸は毒性すらあり、何のために摂っているのかわからなくなります。また、悪魔の油とも呼ばれている「トランス脂肪酸」が産生されることもあります。

ですから、DHAサプリメントを摂られる際は、必ず低温で抽出する「ハイブリッド抽出法」で作られたものを摂るように注意してください。

ホスファチジルセリン

ホスファチジルセリンは、自然界の動植物の細胞の「膜」に含まれているリン脂質の一種です。

ヒトを対象とした臨床試験も数多く報告されており、

  1. 高齢者の記憶力・集中力の低下抑制
  2. アルツハイマー症をはじめとする認知症の改善
  3. 精神不安の解消
  4. ストレス耐性の向上
  5. ADHDの改善

など、脳のトラブル全般に対して、驚くほど大きな成果がみられています。

私たち人間の体を構成しているおよそ60兆個の細胞膜にもホスファチジルセリンは存在し、特に脳に多いことが知られています。

人間は体内でホスファチジルセリンを合成することができないので、豚肉や牛肉、鶏肉、卵、大豆などを摂ることにより、脳をはじめ全身の膜細胞に供給しています。

DHAと同様、副作用がなく、ぜひ摂って頂きたいブレインフードですが、食事からだけでは限界があります。
こんなとき、高品質であると言う条件はつきますが、サプリメントを応用するのは有効な対処法であると思います。

体質改善・快方のプロセス

上記のブレインフードを摂られると、早ければADHDの場合1ヶ月、認知症の場合2ヶ月ほどで効果を体感される方が多いようです。

もちろん個人差もあるので必ず効果が出るとは言えませんが、副作用なく継続して摂取することができるという大きなメリットがあります。

西洋薬との併用も問題ありません。予防や症状の悪化防止の意味を含めて、根気よく継続されることをお勧めします。

養生法

ADHDの場合は『心理療法』が有効なケースも多いです。 専門医の指導の元、自宅でも実施されるとよいでしょう。

ADHDおよび認知症に共通な事項として、食事はバランスの取れた物を摂る様にします。 前述しましたように、DHAが豊富な背の青い魚やホスファチジルセリンの原料となる大豆食品を多く摂るようにしましょう。

ADHDの方は極力、精製された白糖(グラニュー糖)を摂らない様にしましょう。砂糖は代謝を行うために体内のビタミンやミネラルを使い果たしてしまうのです。この状態こそが、ADHDの方がいらいらしたり破壊的になったりしやすい原因なのです。ADHDの方が増えた原因の1つとして、このような食事における栄養バランスの偏りがあるのではないかと今日では考えられています。