アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

実はアトピー性皮膚炎はその原因やメカニズムが十分に解明されておりません。従来は、子供の頃に発症し、成人すると自然に治るとされていましたが、近年、成人になっても治らない、あるいは思春期から成人にかけて、発症するケースも増えてきました。人間関係の軋轢などでストレスがたまるためだと考えられています。

発症時期は次のように分けられます。

(1)乳幼児期(生後1~2ヶ月から2歳頃まで)
(2)小児期(10歳頃まで)
(3)思春期・青春期(18歳頃まで)

顔や頸部にじくじくした湿疹があらわれ、耳の付け根が切れる「耳切れ」がよく見られます。その後、肘や膝などの関節部、首や背中・腰部などにも発症するようになり、皮膚も保湿性を失いかさかさに乾燥してきます。かきむしりすぎて全身に症状が広がり、皮膚が象のようにごわごわになることも珍しくありません。

年齢が高くなるにつれて、顔が紅潮したり、かゆみの程度が増す傾向にあります。

アトピー性皮膚炎は、他の生活習慣病のように予防することがなかなかできにくい病気です。医療機関における対処法は、皮膚を清潔に保ち、皮膚への刺激を少なくすることを基本とし、これにかゆみを抑える外用薬(抗ヒスタミン剤やステロイド剤)や内服薬を適宜、加えて経過を観察するのが一般的です。

カウンセリングと漢方処方

【漢方処方で改善を目指す場合】

(1)免疫を正し、体内を解毒する漢方処方。

免疫力を正常化し、体の毒素を排泄するのにすぐれた漢方薬があります。アトピー治療の決め手になる漢方薬です。

●ご予算の目安 ⇒ 一ヶ月あたり、17,640円~

(2)血液を浄化し、血行を促進する漢方処方。

自然治癒力を高めるための基礎、『血液浄化』と『血行促進』を目的とする漢方薬があります。
アトピー治療の基礎作りに欠かせないものです。

●ご予算の目安 ⇒ 一ヶ月あたり、5,565円~

(3)精神状態を安定させ、皮膚のアレルギー反応を緩和する漢方処方。

アトピーに罹る人はどちらかと言うと神経質な方が多いです。ストレスがかかると免疫力は21分の1になるという研究報告がアメリカであります。精神状態をよくすることは、本当に大切なことです。

●ご予算の目安 ⇒ 一ヶ月あたり、2,500円~

以上、理想的な処方をご紹介しましたが、絶対この組合せでないといけないということはありません。ご予算と症状にあわせてご案内いたします。

【処方例】
ホチュウエッキトウ、トウキインシ、サイコセイカントウ、オウギケンチュウトウ、ウンセイイン、ケイガイレンギョウトウ、ジュウミハイドクトウ、ビャッコカニンジントウ、ショウフウサン、オウレンゲドクトウ

【機能性食品で根本的な体質改善を目指す場合】

自然治癒力を高めるための基礎、『免疫を正す』『粘膜を強化する』などを目的とします。腸管(腸の壁)を強化することにより、余計な抗原を体内に入れないことがポイントです。具体的に言いますと、便秘症・下痢症の人はなかなかよくなりません。近年、腸管免疫と言う概念が重要視されています。

腸管を強化するのに、当方では初乳の成分・免疫ミルクおよび免疫乳酸菌と呼ばれているエンテロコッカス・フェカリス菌をおすすめしております。

腸管を中心とする粘膜のバリアー機能を強化します。このバリアー機能には、皮膚も含まれます。近年、腸管免疫とアレルギーは密接なつながりがあることがわかり、学会でも注目を集めております。腸の弱い方(下痢または便秘症の方)はアレルギーがなかなかよくなりません。

アレルギーの原因となるアレルゲン(抗原)を腸管を通して簡単に、体内に入れてしまうからです。免疫ミルクおよび免疫乳酸菌で粘膜を強化し、アレルゲンを入れないようにすれば、アトピーの根本的な治療につながります。

免疫ミルクの中にあるラクトフェリンは抗原が体内に入ってからの処理をスムーズに行ないます。風邪などのウイルスが体内に侵入したときにも優れた効果を発揮します。

体質改善・快方のプロセス

最初にご紹介しました【漢方で改善を目指す】ケースでは、まず、肝臓を解毒する期間として約半年間(肝臓は最も大きな器官です)かかるとお考えください。この期間は、アトピー性皮膚炎の症状が顕著に良くなることは希有です。実際に良くなるのは服用から半年以上経過してからになります。

さらに、漢方薬特有の解毒作用が強く出られる方がいらっしゃいます(特にステロイド剤を長期に使われている方)。このケースでは、ある期間(1ヶ月くらい)、ステロイド離脱の際に生じるリバウンド反応が出る可能性があります。具体的には元の症状(炎症等)がさらに強く出ます。

肝臓の解毒が完了すると、概ね快方に向かいますが、それでも症状が完全に安定するには2年ほどかかるケースが多いです。

次にご紹介しました【機能性食品で根本的な体質改善を目指す場合】ケースでは、症状が安定するまでに2~6ヶ月が目安となります。

漢方薬を用いる場合より、ずっと症状が安定するまでにかかる期間が短いです。これはアレルゲンの侵入を防ぐことと、免疫ミルクに含まれているラクトフェリンや免疫乳酸菌を摂ることよって、お肌の傷を治す作用(創傷治癒作用)があるためと想像しております。

もちろん、この期間でアレルギー体質が完全になくなるというものではなく、量を加減しながら、長期にわたって続けて頂く必要があります。完全に飲むことを止めてしまうと、再発する危険性が高いです。

アトピー性皮膚炎を患われている方は、アレルギー抗体であるIgE(アイジーイー)抗体の血液中の値が高く出るケースが非常に多いです。

私は、このIgE抗体が正常値になった時点で「完治」と定義します。もちろん、遺伝子レベルの「体質」は変わりませんので、次に記します「養生法」はきっちり守って頂く必要があります。

養生法

遺伝的要因日本人の約15%がアレルギー体質を持っていると言われています。残念ながら、遺伝子レベルのことになりますので、ここを改善することは非常に難しいです。しかし、同じ遺伝子を持っているはずの、北朝鮮の方と韓国の方では、アトピーの率が全然違います。

もちろん、日本の生活に近い韓国のほうが圧倒的にアトピーの人が多いです。これは、遺伝的要因よりも環境的要因が強いことを示しています。抗原(アレルゲン)アレルギーは抗原-抗体反応によって起こります。ハウスダスト、家ダニなどが一般的です。

もし、抗原を完全に無くすことができたら、絶対にアレルギーは起こりません。まず、部屋の掃除(もうされていると思いますが)を徹底的に行ってください。これだけで、ずいぶん違ってきます。ストレス一般的にアレルギー体質の方は繊細な人が多く(悪く言えば神経質)、ストレスに弱い場合が多いです。

過剰なストレスがかかっている状態ではなかなかアレルギーは良くなりません。端的に示しているのが、受験期に入ってストレスがかかると悪化し、合格すると改善する人が多いことからもわかります。

少し、長くなりますが食養生の話もしておきます。いくら漢方薬を服まれても、食養生をしないとやはり良くなりません。

  • (1)甘いもの(特にケーキやチョコレートなどの脂っこいもの)を避ける
  • (2)身体を冷やすもの(ジュース、果物、生野菜等)を避ける
  • (3)インスタントもの(ラーメン、宅配ピザ等)を避ける

以上の3点を心がけてください。これだけで、ずいぶん違ってきます。どうしても、これらのものを食べたいときは、なるべく午前中に食べるようにしてください(身体が元気なうちに)。

以上をまとめますと、

  • (1)部屋をまめに掃除する。
  • (2)食養生を実施する。
  • (3)腸を大切に。

ということです。

当店では上記のことをして頂くことを前提に、漢方薬をお出しします。治療の期間ですが、完全に体質改善するのにかかるのに2年はかかるとお考え下さい。漢方を服まれるのであれば、ある程度の期間は辛抱して続ける根気が必要です。もちろん症状の改善はもっと短期で現れます。

また、スキンケアも非常に大切です。皮膚を清潔に、感想を避け、そのバリアー機能を最大限に生かすことが大切です。当店ではスキンケアにも力を入れております。ぜひ、お気軽にご相談ください。

ステロイド剤

ほとんどの方が、これまでにステロイド剤の処方を受けていると思います。「漢方(または免疫ミルク)で治癒を目指すとき、ステロイド剤は併用した方がいいのでしょうか?」という質問を数多くお受けまします。

この質問に明確にお答えすることは、非常に困難です。なぜなら、ステロイド剤の併用とステロイド剤の離脱、それぞれにメリットとデメリットがあるからです。

ステロイド剤の併用(メリット)ご存じのようにステロイド剤は史上最強の抗炎症剤&免疫抑制剤です。

炎症のきつい部分に塗れば、魔法の薬のように早期に症状が治まります。(デメリット)ステロイド剤は、根本治療に繋がるものではなく、あくまで対処療法です(一時的な改善)。また、漢方薬等の解毒作用とは相反するアレルギー毒素を封じ込める作用があるので、併用されることにより一般的には症状の安定化が遅くなります(約1.5倍)。
ステロイド剤によって本来の漢方の力が足を引っ張られるというイメージです。

ステロイド剤、離脱(メリット)ステロイド剤の負の部分(アレルギー毒素を封じ込める)がなくなるので、漢方の力が減弱されることなく、そのまま発揮されます。

具体的には、症状が安定するまでの期間が最短となります。(デメリット)ステロイド離脱を経験された方ならご存じだと思いますが、かなり厳しいリバンド反応が出ることが多いです。 だいたい一ヶ月ほどで、そのリバウンド反応は落ち着きますが、想像を絶するくらい辛い症状に見舞われる方もいらっしゃいます。

結論を申し上げますと、私はステロイド剤を継続されるか、離脱されるかは、ご本人の意志にお任せします。

無難に対応するのであれば、必要最低限はステロイド剤を使用して頂いた方が、多少安定するまでに時間がかかったとしても、ご本人の苦痛がありません。ソフトランディングが可能です。(ステロイド剤の使用は、当然、医師の指導の元に行います。)

ただ、どうしても最短の期間で治したい、あるいはステロイド剤に嫌悪感を持っていると言う方は、離脱を選択して頂きます。