いらいら

「いらいら」の原因は大きく分けて二つあります。一つは精神的ストレスや体の栄養バランスの崩れ(カルシウム不足など)によるもので、もう一つが更年期障害や肝炎など、他の疾患に伴って起こるものです。

それではまず、栄養バランスの崩れによるものから解説いたします。

  1. 空腹時のいらいら
    空腹時は攻撃的になります。ブドウ糖不足で、この状態では脳の働きが鈍り、判断力、集中力等が低下。そうすると、脳はブドウ糖を補給すべく肝臓にあるグリコーゲンを分解してブドウ糖を作るように指令を出します。そのときに出されるのが、攻撃性ホルモンのアドレナリン。よって、空腹時はいらいらするのです。

  2. ビタミンC不足によるいらいら
    ストレスに対抗するホルモンの副腎皮質ホルモンは、コレステロールからつくられますが、その生成を促すのがビタミンCです。そのためビタミンCが不足すると、上手にストレスを解消できずいらいらしてしまうというわけです。

  3. ビタミンB1不足によるいらいら
    中枢神経や手足の末梢神経の働きは脳によってコントロールされています。 その際、脳は大量のエネルギーを必要とします。脳のエネルギー源は主にブドウ糖です。ブドウ糖をエネルギーとして利用するにはビタミンB1が欠かせません。ビタミンB1不足でエネルギーが必要量満たされないと、脳は中枢神経、末梢神経のコントロールを十分にできなくなり、精神が不安定になったり、(いらいらや不安等)、運動神経の低下、集中力の低下などを招きます。その他末梢神経、中枢神経が支配するさまざまな活動に悪影響を及ぼします。ビタミンB1には直接、脳の神経伝達物質を正常値に保つ働きもあるので、合わせて神経機能の維持に関わっています。

  4. カルシウム不足によるいらいら
    カルシウムは血液中に一定濃度で含まれています。カルシウムの濃度が減少すると神経がうまく働かなくなり、神経や感情のコントロールがみだれ、いらいらの原因となります。

次に、他の疾患が原因で起こる「いらいら」について考えてみましょう。

では、考えられる具体的な疾患をご紹介します。

  1. 更年期障害
  2. 月経前症候群(PMS)
  3. バセドウ病
  4. 肝炎
  5. うつ病
  6. 思春期の不安(病気ではないです)
  7. 糖尿病
  8. 不眠症

カウンセリングと漢方処方

病気が原因ではない「いらいら」すなわち、一過性のストレスや栄養バランスの崩れによる場合は、漢方薬やサプリメントがよく効きます。

漢方ではこの「疲れ」を「気・血・水」の変調による全身バランスの乱れ、あるいは一種の「未病状態」としてとらえます。また、五臓六腑で言うと「肝」の乱れがいらいらの原因であると考えます。「肝」は栄養物の代謝や解毒などの肝臓の機能だけでなく、情緒をコントロールする作用があり、ストレスを受けやすい臓器でもあります。肝の機能が亢進すると頭痛やヒステリーを起こしやすくなります。

以上のことより「気・血・水」のバランスを改善する処方や、サイコを配合した各種のサイコ剤などを処方します。

もちろん、ビタミン不足などによるいらいらの場合はそれを補う食事やサプリメントを摂ることが最優先になります。

もちろん、非常に高価な漢方薬(高貴薬)、例えば牛黄(ゴオウ)や鹿茸(ろくじょう)、熊胆(ゆうたん)、朝鮮人参などを服用されると、いらいらも早く取れます。

「他の病気が元で起きるいらいら」の場合は、その原因となる疾患に対応することが先決になります。

逆に「慢性的ないらいら」が大きな疾患のシグナルであることも少なくありません。あまり続くようでしたら、躊躇なく病院を受診してください。

体質改善・快方のプロセス

一時的ないらいらの場合、漢方薬(特に高貴薬)やサプリメントで緩和されます。「いらいら」が取れてからも、予防および疲労体質改善のために漢方薬を継続服用されることをお勧めいたします。

ただし、「他の病気が元で起こるいらいら」の場合は、原因疾患により対処法が異なります。

養生法

「一時的ないらいら」の場合は「生活習慣を改善」することに尽きます。

  1. 十分な休息および睡眠を取る
    いらいらを感じたら、早めに休むことが大切です。精神的なストレスが溜まりきってしまったら、回復にも時間を要します。早寝早起きを心がけましょう。

  2. バランスの良い食生活を心がける
    いらいらを取るには、良質なビタミン、ミネラル(特にカルシウム)、アミノ酸等が欠かせません。玄米、豆類、ごまやナッツ、海藻類、緑黄色野菜などバランス良く摂るようにしましょう。

  3. リラックスする
    ウォーキングなどの軽い運動やアロマテラピーなどで気分転換しましょう。

  4. ゆっくりお風呂につかる
    少しぬるめのお風呂にゆっくり時間をかけて入りましょう。自律神経のうちリラックスできる副交感神経を優位にすることができます。半身浴も効果的です。絶対にシャワーだけで済ますことは避けてください。

  5. お酒の飲み過ぎに注意する
    過度のアルコール摂取は肝臓に負担をかけます。それがさらにいらいらの原因になります。肝臓の元となる、良質のたんぱく質を摂りましょう。