頻尿

トイレに行って用を足してもまたすぐに行きたくなる、という症状でお困りの方は少なくありません。このように便所に行き尿をする回数が増えることを頻尿といいます。頻尿には1回の尿の量も増加する多尿を伴う場合と、尿意(尿をしたくなる気持ち)は頻繁に起こっても1回の尿量は少ない場合に区別されます。

夜間頻尿
夜間頻尿とは、寝ている間に何度も起きてトイレに行くことを指しており、病名ではなく症状を指す言葉です。就寝前にトイレを済ませておけば、通常は寝ている間にトイレが近くなることはほとんどありません。夜間頻尿であるか否かのはっきりとした定義はないようですが、寝ている間に2回以上のトイレといわれる場合が多いようです。ただし、これは人によっても差があることと思います。ですから、めったにトイレに起きない方が頻繁にトイレに行くようになったなどの場合は、夜間頻尿と判断した方がよいようです。 夜間頻尿の多くの場合は加齢によるものですが、呼吸器の疾患や循環器の疾患などが原因となっている場合もありますので、その点は注意しておくようにしましょう。

神経性頻尿
ストレスや不安など心因性のものが原因となって頻尿が起こることがあります。神経性頻尿とよばれるもので、特徴として寝ている間の頻尿である夜間頻尿が起こらないことや、リラックスしている状態では頻尿が起こらないことなどが挙げられます。

なるべく規則正しい生活やリラックスできるような訓練を、少しずつでよいので行いましょう。あまり症状がひどい場合などは、病院の診察を受け医師のアドバイスを聞くというのもひとつの方法です。

加齢からくる頻尿
男性の場合は前立腺肥大による頻尿が、女性の場合は過活動膀胱による頻尿がよく見られます。また、加齢により腎臓の尿濃縮能自体が低下することによる頻尿もあります。

細菌感染による頻尿
急に頻尿になったという場合、細菌感染によることが疑われます。具体的には、「膀胱炎」「尿道炎」「前立腺炎」などです。尿道の痛みや尿の濁りが認められたら、すぐに病院に行くようにしてください。

尿道結石による頻尿
頻尿と同時に腰痛が現れます。かなり激しい痛みを伴います。

妊娠による頻尿
妊娠中は胎児により膀胱が圧迫され、尿意を感じやすくなります。もちろん病気ではなく、一過性のものですので気にする必要はありません。

冷え症による頻尿
なぜ体が冷えると頻尿になるのかについては諸説あります。一般的には、冷えにより腎臓および膀胱の機能が低下して、正常な排尿が阻害されるためと考えられております。

糖尿病による頻尿
糖尿病の人は血糖を下げようと、生理的にのどが乾きやすくなります。そのため、水分摂取量が多くなり頻尿になります。

前立腺肥大による頻尿
前立腺が肥大すると、膀胱や尿道を刺激して頻尿になりやすくなります。逆に肥大してしまった前立腺が神経過敏になり、そのことが尿道を刺激することもあります。

過活動膀胱による頻尿
過活動膀胱とは読んで字のごとく、膀胱の活動性が過剰になった状態を指します。

カウンセリングと漢方処方

漢方では頻尿の原因を「水毒(すいどく)」または「腎虚(じんきょ)」とみなします。

漢方の「水(すい)」は体内の水液の総称で、「リンパ液を含めた免疫機能全体を司るもの」とみなします。「水の病」は「水」が停滞したり偏在したりするもので、この状態を「水毒」と呼びます。水毒の症状は頻尿も含まれます。

漢方では、生命エネルギーの源を「精(せい)」ととらえます。この「精」は「五臓六腑」のうち「腎」に蓄えられ、生命活動の源泉になると考えます。しかし、加齢などにより腎の機能が低下し、「腎虚」となります。その結果、膀胱の機能低下や排尿障害が起こりやすくなり、頻尿となります。

「糖尿病など病気が元で起こる頻尿」の場合は、その原因となる疾患に対応することが先決になります。

逆に「慢性的な頻尿」が大きな疾患のシグナルであることも少なくありません。 あまり続くようでしたら、躊躇なく病院を受診してください。

体質改善・快方のプロセス

「生理的な頻尿」の場合、その原因を正しく把握し(水毒、腎虚、その他)、漢方薬を処方いたします。症状が緩和されてからも、予防および疲労体質改善のために漢方薬等を継続服用されることをお勧めいたします。特に「腎虚」が原因で起こる頻尿は、もっとも根本的な原因が、加齢ですので、ずっと服み続けられることにより、老化予防(アンチエイジング)の効果も期待できます。

ただし、「病気が元で起こる頻尿」の場合は、原因疾患により対処法が異なります。

養生法

「生活習慣を改善」することに尽きます。

  1. 十分な休息および睡眠を取る
    症状を感じたら、早めに休むことが大切です。放っておくと、回復にも時間を要します。早寝早起きを心がけましょう。

  2. バランスの良い食生活を心がける
    むくみを取るには、良質なビタミン、ミネラル、アミノ酸等が欠かせません。
    玄米、豆類、ごまやナッツ、海藻類、緑黄色野菜などバランス良く摂るようにしましょう。特に腎を強化するには、ひじきや黒ゴマ、黒豆など、色の黒い食品を多く摂るように心がけましょう。

  3. リラックスする
    緊張は禁物です。ウォーキングなどの軽い運動やアロマテラピーなどで気分転換しましょう。

  4. ゆっくりお風呂につかる
    少しぬるめのお風呂にゆっくり時間をかけて入りましょう。半身浴も効果的です。絶対にシャワーだけで済ますことは避けてください。

  5. 体を冷やさない
    アイスクリームやジュースなど体を冷やす食品を摂ることはなるべく控えましょう。また、夏場、クーラーによる冷えにも注意しましょう。