頭痛は、大きく二つに分けられます。一つは「慢性頭痛」といい「編頭痛・筋緊張性頭痛・心因性頭痛」があります。もう一つは「症候性頭痛」といい、「くも膜下出血」や「脳腫瘍」「髄膜炎」などの命にかかわる危険な病気の症状の一つとして起こる頭痛です。症候性頭痛は早期の受診が必要で、外科手術などの専門治療を優先しなければなりません。
漢方療法の対象になるのは、一つめの「慢性頭痛」になります。
偏頭痛
慢性頭痛のなかでも最も多いのが偏頭痛です。頭の片側がズキズキと脈打つように痛み、まれに両側が痛むこともあります。
偏頭痛が起こる原因はよくわかっていませんが、「脳幹」から出る「三叉神経」という痛みを伝える神経が異常に興奮し、「痛み物質」が放出されて、脳の血管の周囲に炎症がおこるためだと考えられています。
また、更年期などで女性ホルモンの分泌量が減ると、脳内に副腎皮質ホルモンのひとつであるコルチゾールが増え、それが偏頭痛、不眠、プチうつなどの症状を引き起こすと考えられています。
緊張型頭痛
ストレスなどによって筋肉が緊張して起こる頭痛です。
背中から肩にかけての筋肉が緊張するために、その周囲にある神経が刺激されて炎症が起こり、頭痛が生じます。
群発頭痛
眼の奥の激しい痛みが、一定の期間に集中して起こる病気です。一度治まっても、数カ月するとまた起こり、これが繰り返されます。
カウンセリングと漢方処方
慢性頭痛は、根気良く漢方薬を続けることにより、大変優れた効果を発揮します。ただし、「頭痛には葛根湯」などご本人が勝手に判断することなく、必ず専門漢方薬剤師の問診を受けるようにしてください。
症状はもちろん、その方の体質【証(しょう)】によって、処方される漢方薬の種類はまったく異なります。
あまりにも痛みが激しい時は、痛みを抑える効果が高い「トリプタン」という薬を使います。
「症候性頭痛」の場合は、その原因となる疾患に対応することが先決になります。
逆に「頻繁に起こる頭痛」が大きな疾患のシグナルであることも少なくありません。あまり続くようでしたら、躊躇なく病院を受診してください。
【処方例】
ゴシュユトウ、シチモツコウカトウ、ハンゲビャクジュツテンマトウ、トウキシギャクゴシュユトウ、ゴシャクサン、チョウトウサン、カッコントウ、オウレンゲドクトウ
体質改善・快方のプロセス
「慢性頭痛」の場合、漢方薬が合えば、速やかに症状が取れることも少なくありません。ここでは慢性頭痛のうち「偏頭痛」に絞ってご紹介します。漢方薬を服用すると同時に、次のことに注意してください。
偏頭痛は、体を動かすと痛みが強くなるため、安静を保つことが第一です。光が刺激となる場合は、照明を消してうす暗くした場所で安静にしましょう。こめかみを軽く圧迫したり、冷やしたりするのも効果的です。
また、前述いたしましたように女性ホルモンのバランスが崩れて起こる偏頭痛には女性ホルモン様作用があるといわれている大豆イソフラボンを摂ることにより、劇的な効果が出るケースも多いです。大豆イソフラボンは腸からの吸収を可能にした『アグリコン型イソフラボン』を選択することが重要です。あまり市販されておりませんので、詳細は当店・鹿鳴堂薬舗までお問い合わせください。
「頭痛」が取れてからも、予防および体質改善のために漢方薬を継続服用されることをお勧めいたします。予防の場合、高額な漢方薬を用いなくても、血行を促進し、血液を浄化するもので十分対応できます。
ただし「他の病気が原因の症候性頭痛」の場合は、原因疾患により対処法が異なります。
養生法
「生活習慣を改善」することに尽きます。
- 十分な休息および睡眠を取る
頭痛の症状を感じたら、早めに休むことが大切です。疲れが溜まりきってしまったら、回復にも時間を要します。早寝早起きを心がけましょう。 - バランスの良い食生活を心がける
頭痛を取るには、良質なビタミン、ミネラル、アミノ酸等が欠かせません。玄米、豆類、ごまやナッツ、海藻類、緑黄色野菜などバランス良く摂るようにしましょう。 - リラックスする
ウォーキングなどの軽い運動やアロマテラピーなどで気分転換しましょう。ストレッチで固くなっている筋肉をほぐすことも有効です。 - ゆっくりお風呂につかる
少しぬるめのお風呂にゆっくり時間をかけて入りましょう。半身浴も効果的です。絶対にシャワーだけで済ますことは避けてください。 - チョコレートの食べ過ぎやワインの飲み過ぎを控える。